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「賢い選手は良い選手」  06.6.26  


選手とマスコミは仲良く!
なにわのイタリアンと筆者

 マスコミは選手のコメントを追い求める。
「決意のほどを」「抱負をお願いします」「サポーターに向かってひとこと」 何じゃそりゃ?と思う人もいるだろう。それじゃ結局同じ答えしか返ってこないぞ、と。しかも、聞き手のサッカーに対する造詣のなさ、知識の浅薄さがありありと見て取れる。
  私も、ワイドショーのクルーの一員(カメラマン)として98年フランス大会直前の日本代表合宿を訪れ、選手たちにインタビュー取材を行なったことがあるが、当日初対面のディレクターはどうやらサッカーに関してにわか仕込みの知識しかない様子。そして彼は、相手チームにとってもマスコミ
に とっても最も危険な日本の若き司令塔に最も浅薄な質問をした。「抱負をお願いします」・・・と。
 少年時代よりサッカー命の私は顔から火の出る思いでテープを回し続けた。私はそのときの司令塔の答えを覚えていない。いや、覚えていないのではなく答えをもらえなかったのだったか? ・・・とにかく私にとっては無かった事にしたい出来事だった。救われたのは、そのあと性懲りもなくディレクターがぶつけた同じ問いかけに、その時点ではまだ代表からはずされてはいなかったキング・カズが丁寧に答えてくれたこと。彼は、お互いに利用しあうのが選手とマスコミの関係なのだということを理解していて、マスコミとその向う側にいる何千万人のサポーター予備軍を味方につける努力を厭わなかったのだ。マスコミは、自身がにわかファンの域を出なくとも、浅かろうがナンだろうが、世間の興味を引くことならば喰らいついてくれるのだから。
  しかし実は、質問の仕方の表面的な部分だけでマスコミを浅薄だと判断することもできないのだ。質問の文言を変えることで何度も答えさせるというテクニックを使っている場合もあるのだ。同じような答えが返ってくる可能性が高くとも、相手に考えさせる時間を与えることができるし、ひょっとしたらさっきとは違うコメントが拾えるかもしれない。それでも同じ答えしか返ってこないとしたら、そもそも意見がないか、もしくは言葉を操る能力の欠如が問題である場合も残念ながらあるのだ。
  そもそも他人に自分の意思を伝えるための「言葉」を多く持たないような選手はたいした選手ではないのだ。複数の人間によって何本ものパスをつなぎゴールを目指すサッカーというスポーツにおいて能力の高い選手とは、すなわちコミュニケーション能力の高い選手ということなのだ。自分の思いや考えを少しでも多くの人に、少しでも正確に伝えたいと願うならば雄弁でなければならないのだ。同じピッチで意思を共有しなければならないチームメイトに、また、選手起用と戦術の決定権を持つ監督に、そして勝利への渇望を喚起させてくれ、自らに力を与えてくれる存在で在り続けて欲しいサポーターに。名選手はボール扱いと同等に、言葉をも素早く的確に、そして自由自在に操れるはずなのである。質問をうけてから答えるまで何秒も掛かるような選手がピッチ上で瞬時に正しい判断ができるわけがない。的確な言葉を持たない選手が的確なパスを出せるわけがない。「言葉」を正しく操れない選手がいい選手であるわけがない。わが代表には、ピッチ上で展開されるプレーの質とともに、言葉の質をも問いたいと思うのだ。また、そうでなければ素晴しいプレーなどできるわけがないのだ。
  若き司令塔が、今回のドイツ大会が近づくにつれマスコミへの露出度を増し、雄弁になり、本来のコミュニケーション能力を発揮してくれたのは嬉しい限りであった。
選手たちよ!彼のようにまでとはいかなくとも、はっきりしっかり、賢そうに見えるように答えて欲しい。そのうちに本当に(プレーも)賢くなっていくものだから。  
(写真と文/黒田クーリー)