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「王様の引退」  06.07.03

  号外まで出る異例ともいうべき扱いで、サッカー日本代表の"王様・中田英寿"引退のニュースが流れた。中田が特別な存在であったことに異論はないが、果たして彼は唯一無二の特別な能力を持った、誰にも真似のできない、追いつきようもない存在なのだろうか。 サッカー選手としてうまくなりたいと願い、そのための努力をし、自分が属するチームの勝利を願い、そのために必要な自分の役割を自分自身で設定し、それを果たすべく走り抜いた彼が特別な存在なのであれば、なんと日本サッカーの、ひいては日本人のメンタリティの弱く貧しいことか。彼が私たちにここ何年間か見せてくれた姿は、国の代表選手に選ばれるほどのサッカー選手としては、本来、当たり前の姿ではないのか?自分が現在いる位置より常に高いところを目指し、その欲求が実現する可能性のあるところには臆せず飛び込み、そこでのあらゆる努力を惜しまない・・・。サッカー選手として、いや、サッカーだけでなく、あらゆるジャンルにおいて、向上心を持つ人間としてまったく当たり前の姿ではないのか? にもかかわらず、これだけ特別な存在として扱われるのは、それだけ自分の意志を継続し、全うすることが普通の者には難しく、それを体現している彼に対する憧憬の気持ちを持つ者が多いということなのだろう。逆にいえば、彼のような強い意志を持てれば、誰でも中田英寿になれる可能性があるということでもある。日本代表のなかにも、彼より強いフィジカル、彼を凌駕する卓越したテクニックを持った選手はたくさんいるのだ。彼らがこぞってNAKATAになれたとき・・・。そのときこそが日本サッカーが世界の頂点に立てるときなのだ。

 惨敗した日本代表のなかで最もアグレッシブに闘い、その直後に引退を発表した今だからこそ、彼の存在の大きさを改めて思い知らされ、彼のメンタリティを理解し始めているマスコミが彼につける定冠詞は過去の"王様"から"孤高"へと変わっている。しかし、いずれにしても他人とは相容れず、他人には理解しがたいといったニュアンスが含まれていることには変わりない。将来、それらの冠の取れたときこそが、彼というパーソナリティを本当の意味で理解したということになるのであろう。また、むずかしくはあっても彼のような生き方を自分にも可能な生き方として捉え、当たり前のように追随し、そして超えていく若者が登場するであろうし、また、そう願いたい。

 あくまでも私見(というか、球団の練習場で溌剌とトレーニングに励んでいた16歳の彼を取材してから、ひそかにその成長を楽しみにしている私の贔屓目)ではあるが、現在、日本選手の中で世界標準に達しているといえる選手は、あまり重視されることがないが実は国際試合で最も必要な「大きなストライド」で、迫力ある囲い込みやスライディングを中田とともに見せてくれ、フィジカルが強く、精度に問題はあるにせよ、大胆なミドルシュートを打ってくれる稲本しかいなくなった。   (文/黒田クーリー)