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「東 莞」

【 第2回】

 経済政策上は自由主義を取り入れてはいても、政治的な枠組みは共産主義の中国の土地はすべて国有であるがゆえに、開発計画が実現するスピードが極めて速い。高速道路であれ建物であれ、何かを作るとなれば、あっという間に完成する。日本のように土地の買収に時間を要し、計画が遅々として進まないなどということはないのだ。現在、外国メディアによってしばしば取沙汰されている、北京オリンピック関連施設の建設の遅れなど、本当は遅れてなどおらず、中国にとっては順当なペースなのではないかとも思える。中国では、おおげさでなく瞬時に街が出現するといった感じだ。

 そのように急速に発展した街にすぐにも出現するダウンタウンの危険性を私たちに教えてくれたクライアント企業のスタッフは栃木県出身のエンジニアで、家族を日本に残し単身赴任しておられるのだが、その人のように海外で、日本人である自分とは明らかにマインドの違う異民族の、ほとんどが若年層の従業員を相手に、こちらが求めるスキルを身に付けさせ、そればかりか、国家の計画によって急速に発展した都市の求心力によって農村部から流入してきた、いわば時代の渦に巻き込まれている最中のにわか都市生活者であり、急速な自国の発展に置いてきぼりを食らいそうな不安と、場合によってはあきらめを抱えた従業員に、勤務態度のみならず、ひょっとしたら生活態度まで教え諭していかなければならない苦労はいかほどのものかと想像する。

 現地採用した中国人従業員たちのなかにも、大学出身で企画や商品開発に携わる、いわゆるホワイトカラーっぽい者から、義務教育止まりで高度な知識や職能を持たず、まさしくブルーカラーといった風情の者がいる。その賃金は日本円に換算すると五十歩百歩ではあっても、彼らにとってはやはり大きな差が存在するようだ。聞けば、大学進学する経済力や環境を持たない家庭環境に生まれついた者に、サクセスストーリーが訪れる確立は、現在のところ極めて低いようだ。

 いずれにせよ中国では、まだしばらくは経済成長が見込まれ、それが順当に続くならば、ますます都市生活者が増加、教育が充実し、いずれ農村部をも含んだ情報網が構築され、国民間でのさまざまな格差が縮小され、あまりに広大な国土のため今までは成しえなかった、いくつもの民族をまたいだ本当の意味での国家統一が実現されれば、このままでは日本などが国際社会のなかで太刀打ちできなくなるのは明白だ。

 しかし、たとえ国際競争のなかでの相対的な国力が落ち、その国民性がしばしば国際的な非難の的になることはあるにせよ(どこの国民だって、どこか他国の国民から見れば非難の対象とされるのだ)海外においてたくましく生きていける日本人の個としての強さに、海外に出るたびにあらためて感嘆する自分も、たくましくあろうと意を強くするのだ。

06. 夏(文 / 黒田クーリー)