私たちクルーを乗せて広大な道路を走っていく車中から眺めると、ここ数年で人口3万人から百数十万人に膨れ上がったとされる街らしく、いたるところでオフィスや住宅用ビルの建設工事を行なっているのだが、一方では道路のいたるところにひび割れが起り、崩れたコンクリートの建物が目に付く一帯が点在している。たぶん、かつての居住地が政府からの命により、猛烈な勢いで再開発されていく途上段階を表した景色なのであろう。私が知っている中では、いっときの上海郊外とよく似た風情である。
移動のみに当てた初日の夜、今回撮影する工場の映像を含む企業 PR 用の映像ソフト制作を私に発注くだすったクライアントとの会食が終わり、ホテルへ引き上げ、さて、これからどうしたものかという時に部屋の窓から街を眺めてみたら、およそ数百メートル向うに、いわゆるダウンタウンといった風情の街並みが見えたので、ここは行くしかないであろうということになり、再度出かけた。
地元住民たちのみが暮らし、およそ外国人が立ち入ることはないのであろうと思われる、実際、かなりの喧騒渦巻く通りには中国語以外の BGM はいっさいなく、ランニングシャツに短パン風情のオッちゃんニイチャンが闊歩する一帯のなかに何十件か並ぶ、グアム・サイパンや台湾など、どっちかというと南の暑い地域でよく見かける二階建てくらいの集合店舗みたいなヤツの前の道路に簡単なテーブルと椅子を出し、店舗なのか屋台なのかよくわからない、かっこよく言えばオープンカフェと言えなくもない食堂兼飲み屋みたいななかから、適当に当たりを付けた店で、言葉が通じないから身振りで「それをくれ」と注文したのは、ラベルに「酒」の文字が読み取れる、ビンの見た目だけで決めた、結局何酒なのかよくわからないやつだったのだが、そこで給仕をしてくれる、若いことに間違いはないのだが、年齢当てクイズをしたならば、ミドルティーンから30歳まで意見が分かれそうな、歳の判別をしにくいが、しかし、愛想はたいそう良い女の子の服を、私はテニスルックかと思っていたのだが、同行者の指摘により、よく見ればそれはバドワイザーギャルのコスチュームだったのだ。 |